鼠径ヘルニアの手術でした

こんにちは。

今日は久しぶりに症例報告です。

今回の患者さんは「鼠径ヘルニア」のダックスちゃんです。

鼠径ヘルニアとは太ももの付け根の鼠径部の皮膚が元々あるいは後天的に空いてしまい(裂けてしまう)お腹の中の脂肪や膀胱、腸など臓器が脱出してしまう病態です。

鼠径ヘルニアは子犬でもたまに認められますが、穴が広がらなければ問題なく一生を過ごせる事が多いです。

しかし場合によってはヘルニアの穴が徐々に大きくなってきてしまいその中に膀胱や腸が入ってしまう子が出てきます。

入ってしまってもおし戻せればとりあえずは問題ありませんが、内臓の出方が悪いとそこで絞まってしまい血流障害をおこす(嵌頓)こともあります。

膀胱が嵌頓してしまうと尿が出なくなってしまったり、腸が嵌頓すると腸閉塞になってしまったり。

発見が遅れてしまうと最悪なくなってしまうこともある恐ろしい病態です。

今回の子は数年前より鼠径ヘルニアを認めていたもののこの1年程度で急激に大きくなってきたとのことで来院。

診察時は脂肪の脱出を認めましたが押し戻せたため2週間後に手術の予定を立てました。

しかし実際手術当日、先日の診察時と脱出している大きさが異なったためエコーを当てたら、なんと膀胱が脱出していました。

しかも押し戻そうとしても押し戻せません。

ギリギリセーフでしたがもし嵌頓してしまった可能性があると考えると・・・

恐ろしくなります。

これが毛を刈ったあとの写真です。

膀胱が脱出していて麻酔をかけた後もお腹の中に戻す事ができなかったため、膀胱内の尿を抜いたところ戻す事ができました。

押し戻すとこんなに大きな穴が開いていました。

縫合して終了となりましたが足付け根ギリギリまで裂けていました。

鼠径ヘルニアは元々筋肉が薄い子も多く再発しやすい病態です。

実際にこの子にも10年ほど前に手術歴がありました。

現在13歳、今後再発しないことを願うばかりです。

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