症状がないものは病気なの??

こんにちは。

以前Twitterで「症状がなければ病気じゃない」と書いたらめっちゃ叩かれてしまいました。

最近の人間医療も動物の医療も健康診断など症状がない時の検査で異常な数値が見つかると、精密検査を行われ病名がつけれられて、薬が処方される、そしてそのまま薬が継続されてそのうち増えていく・・・

みたいな流れが一般化していると感じています。

人間はご高齢になると薬を飲んでいるのが当たり前で、10種類を超えている方も多くいらっしゃいます。

薬の副作用を抑えるために薬を飲んで、さらに体調が悪くなって薬を飲んで・・・

基本的に1度始めた薬って減ることはあまりないですよね。

減らす場合は患者側の申し出によるところも多いのではないでしょうか??

ここで大前提として知っておいて欲しいことは

「薬は基本的に病気を治すものではない」

と言うこと。

これを言うとびっくりされることもありますが、病気(症状)を治しているのは身体自身です。

身体は病気を治すように頑張っているんです。

決して薬が治しているわけではなく、医療関係者が治しているわけでもありません。

我々獣医師や医師、薬などは身体が病気を治すお手伝いをしているだけです。

もし薬が病気を治せるんだとしたら、薬をずっと飲まなければいけないなんてことはありません。

ずっと飲んでいるのだとしたらその薬に病気を治す効果などない、と言っているようなものです。

薬は基本的に症状を抑えたり、自分の免疫をうまく利用して病気を治すのを手伝ったりするものです。

もちろん飲まないと症状が悪化する場合は薬に頼っていくことは大切ですが、基本的に薬はあくまで身体の補助です。

と、薬に関してはこんなところにして本題へ。

症状がないのに数値の異常だけで病気と言われて薬を飲む、必要があるのか??

ここからは私の考えなので、あくまで参考程度でいいので聞いてください。

病気に関する定義というのは現代の西洋医学と、東洋医学やインドのアーユルベーダなどの古典医学とは少し異なってきます。

古典医学には明らかな症状が出る前の段階の「未病」という概念があります。

よく「冷えは万病の元」という言葉がありますが、「冷え」という自覚症状はあるものの検査で異常は認められない場合、それを放っておくとお腹を下したり風邪を引いたり、ガンになったりと冷えが原因で様々な病気になる可能性があります。

定義は様々ありますが東洋医学的な未病とは「症状があっても検査的に異常がないもの」

一方西洋医学的には未病という概念は学校や教科書などでは一切学んでいませんが、近年は定義がされているようです。

日本未病学会によれば「自覚症状はないが検査で異常が認められるもの」とのことです。

さて、ここで本題。

自覚症状がないが検査で異常が認められた場合は病気なのか?

そしてそれへの対処法として薬を使うことに意味はあるのか??

まず一つ目。

私は基本的に自覚症状のないものに関しては病気というのはやり過ぎなのかなと思っています。

人間もそうですが基準値というものはあくまでも基準値です。

生まれつきの体質の違いもありますし、当然ながら運動量や仕事量の違いもあります。

さらに日本人だからと言って全員が和食が身体に合っているということもないでしょうし、和食の中でも魚がメインがいいのか、野菜がメインがいいのか、人それぞれ違います。

ラーメンで下痢をする人もいれば、3食ラーメンでも大丈夫な人もいますよね。

それぞれ身体は違うんです。

なのに・・・検査の基準値というものは全員に当てはめられます。

少しでも外れると異常と言われます。

住んでいる地域でも血圧は変わってきますし、食べているものでも肝数値などは変わってきます。

人間でもおかしなことですが、犬猫に関してもっとおかしいです。

体の小さなチワワでも、100kg近くあるグレートデーンでも、1歳でも15歳でも基準値は同じですww

いや、普通に考えておかしいですよね。

そして市販の穀物たっぷりフードを食べている子とグレインフリーなどの高タンパクのものを食べている子、そして手作りの子だと当然ながら血液検査の数値は変わってきますが、それに対しても同じ基準値。

身体は歳を取ればそれなりに機能が落ちてきます。

それでも若い子と同じ基準値というのは、どうやっても病気が増えていってしまいます。

例えるなら80歳で50メートル8秒台で走れないならおかしい、と言っているようなもんですよ。

15歳の犬に対して1歳の基準値を当てはめるというのは無意味に近いんです。

では元気な時に検査をする必要はないのか?と言われたらそうでもないと思っています。

ただしそれは異常値を見つけることが目的なのではなく、以前と比べて数値がどのように変化したのか、を見ることが目的なら、です。

動物は喋られないのである一定期間で検診は必要だと思いますが、あくまでも個体差がありますので基準値は「目安」で考える必要があると思っています。

さて、仮に基準値を外れたり以前の検査より数値が悪くなっていた場合、それに対してはどうしたらいいのでしょうか?

薬は必要なんでしょうか??

私の答えは「基本的に症状がないなら薬は不要」です。

もちろん全て、とは言いませんが、基本的には不要です。

まず何が原因でその数値が上がったのか、を考えない限りはそれに対する策を講じるのは不可能ですよね。

例えば肝数値が上がってエコーをした時に胆泥が溜まっていた場合、その原因を考えずに胆泥に対する薬を使ったって原因は何も解決していません。

しかしそれが現在行われている医療の実態なんです。

まずは食事や生活習慣の見直しを行い、それでも下がらず、なおかつ本人に何かしらの違和感なり症状がある時に初めて薬は使われるべきだと考えています。

じゃないと、年々どんどん薬は増えていきます。

ちなみに、身体にいい面だけを持ち合わせている薬なんておそらくありません。

薬には効果と副作用があると言われていますが、あるのは「作用」だけです。

それを人間に都合のいい部分を「効果」と呼び、都合の悪い部分を「副作用」と呼んでいるのです。

つまり薬を使うということは、身体に何かしらの影響を及ぼす。

そんなものを「とりあえず出しておきますね〜」のテンションで出してはいけないんですよね。

って考えると、やはり症状のない検査上の異常しか見られない場合はまずは食事や生活習慣を改善させ、飼い主さん共にストレスなく健康に過ごせるようにしていくのが一番の対策だと思っています。

そんな思いもあり昨年より「減薬外来」と銘打って永井動物病院で活動していますが、全然浸透していませんw w

来年はその辺をもう少し世の中に浸透させ、薬を飲み続けるのが当たり前ではないことを皆さんに改めて考えていただけたらなと思っております。

薬はリスク

では🤗

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