その常識は本物なのか?

こんにちは。

情報過多のこの時代、テレビやSNS、インターネットには様々な情報が飛び交っています。

その中には今まで当たり前だと思っていたけど実は違った、という情報も見受けられます。

今日は獣医業界の「当たり前、常識」について、本当に当たり前なのか考えてみたいと思います。

1.犬猫にはペットフード以外は食べさせてはいけない?

一つ目のテーマは食事です。

メディアでは「犬猫に人の食べ物をあげてはいけません」と言っているものも多いと思います。

しかしこれは本当なんでしょうか?

そもそも「人の食べ物」とは何を指しているんでしょうか?

犬猫の主食を考えてみましょう。

イヌ科の狼や狐、ネコ科のライオンやトラは何を食べているでしょうか?

ネコ科は主に肉食ですよね、これはとてもわかりやすい。

ライオンが草は食べませんし、とうもろこしを食べているところなんて想像できません。

イヌ科も基本肉食ですよね。

しかしイヌ科の動物たちは動物の肉が手に入らない場合、昆虫や木の実、果物なんかも少しは食べるみたいです。

つまり肉中心の雑食といえるでしょう。

ってことはですよ、人の食べ物であっても肉であればあげていいってことですよね?

日本の猫は魚を昔から食べていたはずなので、魚もいいと思われます。

それではペットフードはどうでしょうか?

原材料を見てもらうと「とうもろこし、小麦、パン粉」などが入っているフードがとても多く見られます。

???

これはおかしいですよね。

正直現在の犬猫は野生と違いますので、肉だけでいいのかはわかりませんし、それだけだと栄養が偏ってしまう可能性が高いと思われます。

しかし穀物中心のフードは食べていいけど肉をあげてはいけない理由はないですよね。

もちろん人の食べ物と言った場合に「加工食品」はあげない方がいいと思います。

糖分、塩分も多く添加物も多いため身体には良くないと思いますので。

しかし肉や魚、卵、少量の豆や野菜、芋なんかはあげても問題ないと思います。

むしろそのような「生きた」食べ物をあげた方が動物たちも元気になるんじゃないでしょうか?

これらをフードにトッピングしてあげると表情が変わりますよ。

2.予防接種は毎年打たなければいけない?

これに関しては賛否両論あると思いますが、まずはWASAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインを載せますね

ここにはっきりと「コアワクチン」は3年に1回と書いてあります。

そして15年間免疫が持った子もいるみたいです(もちろん個体差はあると思います)

そして「ノンコアワクチン」に関しては状況に応じて感染症のリスクが生じる動物にのみ、と書いてあります。

猫に関しては3種のコアワクチンなので、毎年の接種は必要ありませんよね。

問題は犬です。

コアワクチン(パルボウイルス、ジステンパーウイルス、アデノウイルス)に関しては最低3年に1回でいいとのことですが、パラインフルエンザウイルス、コロナウイルス、レプトスピラなどのノンコアワクチンは必要なら毎年接種する必要がある。

でもコアワクチンのみが入ったワクチンがどこにも売ってないんですよね・・・

つまり今のワクチンだと「コアワクチンは3年に1回でいいけど、ノンコアワクチンを毎年打たなければいけないから、結果的に全ての種類を毎年打たなければいけない」

という結果になってしまいます。

ちなみに日本獣医師会のHPにはこう書いてあります。

ここで次の疑問。

ノンコアワクチンに入っている病気は本当に流行っているのか?

そしてそれはワクチンを打たないと危険なものなのか?

ここの議論って全然行われていないんですよ。

まずコロナウイルス。

これは犬で下痢を引き起こすと言われていますが、その確固たる証拠はなく、また変異を繰り返しているので打つ必要はない、と先ほどのWASAVAのガイドラインに書いてあるんです。

つまり打っても意味なし、と言ったところでしょうか?

次にパラインフルエンザ。

これは咳やくしゃみ、気管支炎、悪くなると肺炎を引き起こすウイルスです。

これにかかりやすいのは主に子犬です。

子犬がペットショップからやってきて数週間後に咳やくしゃみをすることがあります。

この時に疑われるのがこのウイルスです。

しかし風邪症状の原因は他のウイルスのこともあるし細菌感染のこともあります。

つまりこれだけではないってこと。

そして一番の問題が「ペットショップから来た子は皆ワクチンを打っている」って事。

打っててもなっている可能性が高いんです。

さらに大人ではほとんど見かけない。

これに対して毎年打つ必要があるのか、という疑問が残ります・・・

最後にレプトスピラ。

これは私も見たことがあります。

黄疸、腎不全、血小板減少などを引き起こし亡くなるケースも多くあります。

この病気はネズミなどの野生動物の尿から検出され、それが水溜りなどでは数ヶ月生き延びるため、川沿いや田んぼの水を飲むとかかる可能性があります。

私は5年ほど前に東京都でレプトスピラを見ました。

その時の話ですが過去10年で届出された犬は2頭。

いることはいますが多くはない。

そしてレプトスピラの一番難しいところは

・型がいくつもあるがワクチンに入っている型は数種類

・型が違うとワクチンが効かない可能性が有る

・しっかりとした免疫をつけるには半年ごとの接種が必要

つまり打っても効くかわからず、回数も足りていない可能性が有るってこと。

さらにレプトスピラの入っていない5、6種のワクチンを打っている子も罹っていない。

うーーーーーん

解釈に困ります。

これを考えていると、そもそもワクチンに入っている病気って流行っていないんじゃないか?

という疑問を拭えないんです。

長くなりましたが結論。

気になるなら毎年の接種を勧めますが、毎年行う必要はないと思われる。

これが私の結論です。

歯切れが悪くなって申し訳ございませんが、ガイドラインに従うとこうなってしまうんです。

ただ安心してください。

パルボウイルスは確かに亡くなっている子犬を見たことがありますが、成犬ではほとんど無症状。

パラインフルエンザやアデノウイルス2型が引き起こすケンネルコフも成犬ではほとんど見たことありません。

レプトスピラも地域にはよりますが東京や神奈川では数年に1頭。

ジステンパーやアデノウイルス1型は見たことありませんので、毎年打たないから絶対にかかるものではありません。

何かご質問があればよろしくお願いします。

今言われている常識はもしかしたら違うかもしれない。

常にこのような視点を持って生きるって大切になってきますよね。

コメント

  1. 情報が多すぎて惑わされてしまいますよね、しっかりみ極めて先生のようなプロに聞く。しかしワクチンてなんなんだろって思いますね。永井さんはワクチン打ってなくても入院は関係ないのですか?昔は別部屋にうつされました。

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